ウサギの診察Rabbit examination
ウサギの診察
Rabbit examination
病院への来院例
1)くしゃみや鼻水が出て、鼻の周りにカサブタがついています。
- 病名:
- トレポネーマ症
- 治療:
-
一見スナッフルのようですが、特徴的な症状が鼻の周辺に見られ、生殖器にも症状があったためトレポネーマ症が疑われました。通常の抗生物質では治らないため、この病気治療の抗生物質を投与しました。治療後は患部もきれいに治り、治療を終了としました。
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鼻孔周囲治療前
生殖器周囲治療前
鼻孔周囲治療後
生殖器周囲治療後
2)かかとの部分が赤くはれています。血がにじんでいます。
- 病名:
- ソアホック
- 治療:
-
普通はかかとの裏は毛でおおわれていますが、尿や便で汚染されたり、硬いあるいはすべりやすい床での生活がこの病気を起こしやすくする原因です。まずは、環境の改善と抗生物質、鎮痛消炎剤の投与で改善を試みます。
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正常個体のかかと
ソアホックのかかと1
ソアホックのかかと2
3)元気はあるんですが、食欲だけないです。口を気にしているようです
- 病名:
- 切歯・臼歯の不正咬合
- 治療:
-
前歯の不正咬合の場合は、ケージ噛みを習慣的に行っていたり、事故により前歯が折れてしまう事が原因です。
治療は前歯をディスクカッターで前歯をトリミング(カット)します。ただし、一生伸びる歯ですのでだいたい月に一回はカットが必要となります。
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正常な切歯
切歯の不正咬合1
切歯の不正咬合
切歯トリミング後
治療は、麻酔下で開口しハンドピースを使用して歯医者さんのように削ります。この病気も一生削りに来院する必要が出てきます。
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臼歯不正咬合
不正咬合による舌潰瘍
臼歯トリミング中
臼歯トリミング後
4)おしっこが出にくいです。何回もトイレに行きます。
- 病名:
- 尿スラッジ、膀胱結石
- 治療:
-
カルシウムの多い食事を与える事が原因ですので、まずは食餌の見直しを開始します。尿スラッジの場合は、必要に応じて抗生物質やサプリメントを使用して治療します。ひどければ外科手術も視野に入れないといけません。
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カルシウム尿
レントゲン画像
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膀胱結石(レントゲン)
膀胱結石(手術中)
摘出後の膀胱結石
5)突然食べなくなってお水も飲まず動きません。横になってゴロゴロして、お腹を痛そうにしています。
- 病名:
- ウサギ消化器症候群(毛球症・胃腸のうっ滞)
- 治療:
-
原因としては適切でない食餌もありますが、しっかりとブラッシングをしないために起こる事も原因です。治療としては内科治療を行って改善を試みますが、状態によっては胃内容物の吸引や外科手術が必要なケースもあります。
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レントゲン画像
(正常)
レントゲン画像
(急性胃拡張)
手術画像
(腸閉塞部)
手術画像
(閉塞物摘出時)
閉塞物(毛球)
6)睾丸が腫れています。
- 病名:
- 精巣腫瘍。膀胱陰嚢ヘルニア
- 治療:
-
両方とも外科手術が治療となります。精巣の腫瘍の場合は、精巣腫瘍を陰嚢ごと摘出します。膀胱陰嚢ヘルニアはうさぎの解剖学的な特徴により起こります。膀胱を腹腔内に戻し、去勢手術を行って再脱出しないように施術します。
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精巣腫瘍
精巣腫瘍(摘出後)
膀胱陰嚢ヘルニア
手術中(陰嚢整復中)
整復および去勢手術後
7)血尿が出ましたが、元気も食欲もあります。背中はごつごつ骨が出ているのに、お腹はすごく太って(張って)います。
- 病名:
- 子宮がん。
- 治療:
-
外科手術での摘出が基本です。2~3歳を過ぎての未避妊のうさぎの血尿の多くは、子宮疾患と疑って良いくらいに好発します。
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正常な子宮(手術中)
血尿(尿と血液が分離して出ている)
子宮がん(レントゲン)
子宮がん(手術中)
- 病名:
- 子宮水腫
- 治療:
-
外科手術が適応となり、注射器で水腫内の液体を抜いても数日のうちに戻ってしまいますから、完全摘出を行います。
症状はほとんどなく、元気に食欲もあるため単純に肥満と勘違いしている飼い主さんもみられます。
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子宮水腫(腹部が異常に膨れている)
子宮水腫(レントゲン)
子宮水腫(手術中)
子宮水腫(手術後:お腹がぺちゃんこに)
- 病名:
- 子宮蓄膿
- 治療:
-
水腫と違い、子宮内に膿が溜まるため体調は悪くなります。早急に摘出手術しないと、破裂を起こして腹膜炎で亡くなる事もあります。
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子宮蓄膿(手術中)
子宮蓄膿(子宮を切開後の内容物:膿)
8)あごの下が腫れています。目が飛び出てきています。
- 病名:
- 下顎膿瘍。眼窩膿瘍。
- 治療:
-
両方とも臼歯の不正咬合が発端ですが、小さい時から与えているサプリメントやおやつが虫歯させてこの病気を引き起こします。
サプリメントやおやつはほどほどにしないといけません。
下顎膿瘍は、膿瘍(膿の入った出来物)を切開して排膿し、傷口を開けたままの状態にして洗浄・消毒を行って治療します。
眼窩膿瘍は、眼球突出があるためほとんどの場合眼球摘出が必要となります。その後膿瘍を切開し、排膿・洗浄・消毒を行います。
眼球摘出をすれば、一生片目の生活を強いられます。
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下顎の膿瘍
(毛刈り・消毒後)
下顎の膿瘍(膿瘍を切開後に排膿している)
眼窩膿瘍(眼の奥に膿が溜まって眼球が突出)
9)最近、目が出て来たように感じます。
- 病名:
- 心肥大。胸腺腫。
- 治療:
-
心肥大の場合は、レントゲンやエコー検査により診断し内服を投与する内科療法になります。心臓は、元通りの状態にはなりませんので、一生投与が必要となります。
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レントゲン(胸部正常)
レントゲン(心肥大)
レントゲン(胸腺腫)
眼球突出(胸部に異常がある場合に起こる)