犬の健康管理 Health Management for Dog

 まず皆様に知っていただきたいのは、ワンちゃん達の予防はかなり確立されているという事です。
 これは、『病気になったら治療する』ではなく『病気にならないように予防する』という事が、どれだけ大事なのかを示しています。
 ですから、私たち動物病院も『病気になって行く所』から『病気にならないために行く所』へ変化しつつあります。病気になってしまうと助からないものもありますから、ならないように予防を行う事がベストと思っても間違いではありません。
 下記に記載する予防がワンちゃん達には多くありますから、これらを行って可愛い家族の一員を病気にさせないようにしましょう。

<ワクチン(予防接種)>

★狂犬病予防ワクチン
 狂犬病ウィルスは、犬だけでなく人も含めた全ての哺乳類に感染し、発症すればほぼ100%しにいたる病気です。近年日本では発生しないとはいえ、世界では現在も多数の死者が出ており、日本への再上陸の危険性もあります。狂犬病の予防注射は、愛犬だけでなく危険な伝染病のまん延を防ぐ、社会の一員としての責務でもるのです。
 狂犬病の予防注射は法律で定められた飼い主の義務です。毎年1回必ず接種を受けてください。接種時期は、4月から6月までに注射を受け、注射済票の交付を受けなければならないと定められています。
 また、知っている方も少ないのですが、生後91日以上のワンちゃんは、居住地の市区町村役所(場)で『飼い犬登録』をしなければなりません。登録も法律で定められた義務です。飼った時は区や市へその旨を届ける事も忘れないでください。
★混合ワクチン
 子犬は母犬からの初乳を通じて、移行抗体と呼ばれる免疫をもらいますが、その有効期間は45~90日くらいまで、この移行抗体が切れる時期が、病気に対する抵抗力が失われる危険な時期といえます。この時期に母犬に代わって身体の中の免疫力を高めて、子犬を病気から守るものがワクチン接種です。
 混合ワクチンは、『犬ジステンパー感染症』や『犬パルボウィルス感染症』などの病気を予防するためのワクチンが一緒に入っていて、5種混合ワクチンや8種混合ワクチンなど様々あります。もちろん、種類が多ければその分病気を予防する数が多くなります。
 最近では、動物から人へ感染して問題を起こす『人畜共通感染症』がクローズアップされています。できれば、人畜共通感染症の観点からいえば、『犬レプトスピラ病』もその一つですので、可愛い愛犬を守るためでなく、動物たちから人間に感染を起こさせないように予防できるものが入ったワクチンがお勧めであるといえます。

<フィラリア予防>

 フィラリア(犬糸状虫)は、犬の心臓や肺動脈に寄生する寄生虫です。犬フィラリア症は、感染犬から直接他の犬にはうつらず、蚊が媒介します。感染すると、食欲や元気がなくなり、徐々にセキや腹水などが起こる呼吸器障害、循環器障害になり、泌尿器へも障害が起こるようになります。その状態が続くと、心不全などを起こして死に至る怖い感染症です。
 フィラリア症は、発症すると治療が困難ですが、じつは簡単な投薬だけで予防できます。そのため、予防がとても重要になるのです。
 ただし、フィラリア症に感染している状態で予防薬を服用すると、ショック状態になって死亡する事もありますので、必ず病院で感染していないかの簡易検査を受けてから予防を行ってください。なぜなら、このお薬は1ヶ月間効果のあるお薬ではありません。ワンちゃんが蚊にさされ、蚊の中にいたフィラリアの仔虫(ミクロフィラリア)がワンちゃんに侵入したものを駆除する薬です。しかも、ワンちゃんの中に入り込んだ仔虫は第3仔虫(感染幼虫)といい体内を移動していく間に第4仔虫(体内移行幼虫)になります。この第4仔虫を100%駆除するお薬がフィラリア予防薬なのです。(要するにミクロフィラリア駆除薬というわけです)その後の第5仔虫になると駆除率がぐっと下がって、生き残ってしまい成虫になってしまいます。そうなるとこの薬はまったく効きません。
成虫になる前に駆除する薬ですので、感染し成虫になったフィラリアがいるワンちゃんの血液中には、多数の仔虫が存在しています。(親虫が仔虫を多数産むからです)そのような状態でこの予防薬を投与すると、仔虫が一気に死んで血管内につまりショック死するといわれています。ですから、予防前に親虫であるフィラリアがいるかいないか必ず検査するという事が必要となるのです。
 また、先ほど述べたように1ヶ月間効果のある薬ではないので、1ケ月以上飲ませ忘れた時は先述したように生き残ってしまい、予防薬を投与してもフィラリア症になっているという不思議な現象が起こります。ですから、数ヶ月飲ませ忘れた場合、再度検査が必要になったり、成虫駆虫という身体に負担がかかる治療になるので、忘れずに飲ませてくださいね。
 お薬は月に1回飲ませる錠剤をはじめ、身体に垂らすタイプなどがあります。当院では、病気になった時に薬を飲ませなくてはいけないという観点から、錠剤タイプをお勧めしております。
 予防期間は地域などによって異なりますが、当院のある都市中心部は『ヒートアイランド現象』もあるため寒い時期になっても蚊が飛んでいる事があります。そのため4月から12月までの投与をお勧めしていますが、念のためを考えて1年中投与される方もいらっしゃいます。その場合は、簡易検査は不要になります。

<ノミ・マダニ予防>

 ワンちゃん達の外部寄生虫の仲で代表的な存在がノミでしょう。ノミが身体に寄生すると痒みのために引っ掻いたり咬んだりして皮膚炎を起こすだけでなく、ノミの唾液に含まれる物質によってアレルギーを起こして、背中からしっぽにかけて脱毛やブツブツのかゆみを生じる皮膚病になります。
 また、皮膚病だけでなくノミの成虫の中には条虫(さなだ虫)という消化管寄生虫の卵を持っているものもあって、痒みで皮膚を咬んだ時一緒にノミも飲み込んで、そのノミの中の条虫卵がワンちゃんのおなかで孵化しておなかに寄生虫がついてしまいます。この寄生虫は、便検査ではなかなか見つけにくいタイプですので、便検査で寄生虫の卵が見られなくても、ノミがいたら同時におなかの虫下しも行う必要があるでしょう。
 もちろん、ワンちゃん達に寄生しているノミが、人間にもうつって刺したりして痒みや皮膚炎を起こしますので、ワンちゃん達に寄生しないように予防する事が必要となります。
 ワンちゃん達に寄生するダニは主にマダニです。普段は草むらなどにいて、散歩をしているワンちゃん達の被毛にくっついて寄生し始めます。身体を刺して吸血しますが、ノミと違って吸血する際セメント用物質を出してワンちゃん達の身体から取れないように固定してしまいます。ダニを見つけて安易に取ろうとすると、ダニの頭だけ残って皮膚が化膿したりするので、ダニを見つけたら病院で取ってもらうようにしてください。
 ダニが感染すると皮膚病だけでなく、バベシアという原虫を媒介させ、赤血球を壊して生命に危険を及ぼす危険な病気にもなります。
 また、ダニの中にはSFTS(重症熱性血小板減少症候群)ウィルスを持っている場合もあり、人間に媒介して人間が発症すると死に至るケースもある怖いウィルスです。近年、これが原因で亡くなった人がニュースでも流れました。いつ自分達に降りかかるかもしれない『人畜共通感染症』ですので、まず可愛い愛犬達を予防で守る事が必要となるのです。
 今では、非常にすぐれたノミ・ダニ予防薬というものがあります。液状で首筋に垂らすスポットタイプから、飲ませるタイプのものまであります。皮膚病が持病のワンちゃんは、飲むタイプがおすすめです。詳しくは病院スタッフにご相談ください。
 ただし、ひじょうに良い駆除の効果を望むのであれば、病院で取り扱っているものを使用してください。私たち獣医さん(資格を持った人)しか扱えないものが病院にあるので、ホームセンターに売っているものとは別物になります。

<避妊・去勢>

 これらの手術は、不妊させる事が目的よりも、病気予防などのメリットのために行います。たとえば、発情時の性的ストレスの軽減、性ホルモン関与の病気予防になります。
 女の子は避妊しない事により、『子宮蓄膿症』や『子宮水腫』、卵巣腫瘍や性ホルモン性皮膚疾患などがあります。男の子は、攻撃性の軽減や前立腺肥大・腫瘍、肛門周囲腺腫などの予防になります。これらの病気は、高齢になることで発生しやすくなりますので、心肺機能の低下した高齢での手術よりも、身体の元気な若いうちに手術する事をおすすめします。
 手術費は、体重・年齢によって変ります。当ホームページに掲載している費用は基本料金ですので、詳細はスタッフにご相談ください。

<デンタルケア>

 ワンちゃん達も人と同じく、口腔内を清潔に保つ事が必要です。ただし、人と違ってなかなか歯みがきが出来ない事が多いのが現状かもしれません。そのため、みなさんあきらめていませんか?
 歯の病気は、ただ虫歯になって歯が痛くなるだけではありません。じつは、歯についた歯垢が数日のうちに石灰化して歯石になります。その歯石のため、歯の周りの組織、いわゆる歯周組織が崩れてきて『歯周病』になります。歯肉と歯の間(歯周ポケット)が広くなり、そこへ更に歯垢がたまります。その歯垢の中で歯周病菌が増殖して、病原菌から出てくる毒素や菌本体が歯周の血管から身体に入り、最終的に心臓や腎臓に行きつき、心臓病や腎臓病を引き起こすと考えられています。確かに、診察時に心雑音などが聞かれるワンちゃんの口腔内は、歯石ですごいことになっているケースが多いです。
 虫歯は、抜いてしまえば痛みや化膿などから回避できますが、心臓や腎臓の病気は一生治らない事が多いです。その心臓病や腎臓病がワンちゃんの寿命を決めてしまいますから、『たかが歯周病、されど歯周病』ということを覚えていただければ、頑張って歯磨きをしてあげようと思われるのではないでしょうか?
 じょうずな歯みがきの仕方は、スタッフにご相談くださいね。

<マイクロチップ>

 マイクロチップは、直径2mm、長さ役8~12mmほどの大きさで、生体適合ガラスで外側が覆われた小さなチップです。チップの中には、そのワンちゃんだけに与えられる15桁の数字のデータが入っていて、この数字は世界で1つだけの数字となります。
 例えば、迷子になってしまって名前の入った首輪や狂犬病ワクチンの済票、鑑札がない場合や、盗難・事故などで飼い主が分からないワンちゃん。また東日本大震災の時には、マイクロチップがないために多くのワンちゃん達が飼い主とはぐれ、ワンちゃんがどこに逃げているのか、どこの病院で手当てを受けているのかなどが分かりませんでした。そのため、飼い主さんと長期の間、ずっと会えずに悲しい思いをしたワンちゃんや、似ているという理由で全く違う飼い主の方の元へいってしまうような事もあったようです。
 マイクロチップを入れてさえすれば、マイクロチップを専用のリーダーで数字を読み取り、データベースへ照合すればどこのワンちゃんかすぐにわかります。そうすれば、飼い主の方が大切なワンちゃんにすぐ会える可能性が高まるのです。
 こういった、災害を教訓に日本でもマイクロチップの挿入が広まりつつある感じです。これからいつ災害が起こるか分かりません。その時に困っても遅いですから、マイクロチップの挿入をご検討ください。
 また海外へ行く場合は、マイクロチップが挿入されていないとほとんどの国へ行けないくらい、狂犬病予防ワクチンと並ぶほど海外では徹底化されています。もし、マイクロチップを行うのであれば、スタッフへお気軽にご相談ください。
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